〔管理組合関係〕

1.管理組合

 建物及びその敷地や附属施設を管理運営する事を目的として、マンション区分所有者全員で構成される団体。マンションに複数区分所有者が存在していれば管理組合は成立する。

2.管理組合法人

 特別決議(四分の三以上)により、管理組合が法人化したもの。法人化のメリットとして、法律関係の明瞭性や登記される事による取引の安全性などがあげられる。

3.管理者

 管理組合の業務を統括する役割を担う管理組合の最高責任者。総会(集会)の決議により選任又は解任する事が出来る。

4.管理費

 マンション管理及び管理組合の運営に要する費用や管理委託費、共用施設の保守点検費などに要する費用など。

5.修繕積立金

 大規模修繕工事の実施など多額の費用を要する場合に費用負担を軽減するために積み立てられる費用。管理費とは区分して経理されるものである。

6.専有部分

 仕切壁、床・天井など、構造上区分され独立して住居などの用途に使う事が出来る部分の事で、所有権を有する部分の事。

7.共用部分

 専有部分以外の建物の部分(エレベーター・共用廊下・外壁など)、又は、専有部分に属しない建物の付属物などをいう。バルコニーやベランダなども該当する。

8.専用使用部分

 マンションの各住戸に接するバルコニーなどのように、敷地や共用部分でありながら、特定の区分所有者だけが使用する事が出来る部分をいう。また、この専用使用部分を使用出来る権利を「専用使用権」という。

9.区分所有者

 マンションの各住戸(専有部分)を所有するものをいう。

10.占有者

 所有者以外で専有部分を使用する賃貸による賃借人など。占有者は、建物又はその敷地若しくは附属施設の使用方法につき、区分所有者が規約又は総会(集会)の決議に基づいて負う義務と同一の義務を負う。

11.理事長

 対外的に管理組合を代表するほか、管理組合の業務を統括し、総会(集会)における管理組合の業務執行に関する報告や規約などで理事長の職務として定められている業務を行う。標準管理規約では、理事長は管理者とする事が規定されている。

12.理事

 理事会の定めにより、庶務や会計いなど管理組合の業務を担当する。

13.監事

 管理組合の財産の状況及び理事の業務執行状況を監査する。また、組合と理事との利益が相反する事項については、監事が管理組合を代表する。なお、管理組合法人には監事をおかなくてはならない。

14.総会(集会)

 少なくとも毎年1回集会を招集しなければならず、この招集義務は管理者に課せられる。なお、管理組合法人の場合、集会の招集義務は理事が負う。マンションの管理に関する主要な事項は、原則として集会の決議で決する。

15.管理規約

 区分所有法では、権利関係などの基本原則を定めているが、その他のマンションの規則として、管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項について管理規約として各マンションの事情に応じて制定することができる。

16.使用細則

 マンションにおける居住や維持管理をよりよいものとしていくために、管理規約とは別に定めることができる、きめ細かな建物の利用や生活に係るルール。

17.理事会

 法人でない管理組合の場合、理事会は、理事により構成される業務執行機関である。理事会は理事の半数以上が出席しなければ成立せず、出席した理事の半数で議事が決する。(標準管理規約より)なお、一般的に管理組合法人の場合でも、理事会をおいている場合が多い。

18.普通決議

 区分所有者及び議決権の各過半数で決する決議。

19.特別決議

 普通決議と異なる特別の多数者の賛成を要する決議。区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数、もしくは各5分の4以上の多数などにより決する決議のこと。

20.共用部分の変更

 共用部分の変更は、特別決議で決する事項だが、形状又は効用の著しい変更の伴わない変更については普通決議で決することができる。

形状変更及び著しい効用変更:特別決議

著しい効用変更以外      :普通決議

21.損害保険

 損害保険契約に基づく保険金額並びに共用部分等について生じた損害賠償金及び不当利得による返還金の請求及び受領について、管理者が、区分所有者を代理する。

〔建物関係〕

22.劣化診断

 長期修繕計画を作成するために行うものや、大規模修繕工事等の実施のために行うものの他、瑕疵を確認するためなどに行う場合もある。

23.大規模修繕工事

 計画的な修繕工事の中でも外壁の塗替や屋上防水の取替、給水管の修繕等の建物や設備の全体にわたり多額の費用を要する工事の通称。

24.長期修繕計画

 一定の年数経過ごとに計画的に修繕を行うことが建物を良好に維持していくためには必要である。長期修繕計画とは、修繕の対象部分、修繕の時期、修繕に必要な費用等をあらかじめ計画したものである。

25.法定点検

 建物・建築設備等の維持管理のうえで、定められた期間に一定の資格者が点検することが建築基準法、消防法、水道法、浄化槽法などの法律等により定められている。

26.経常修繕

 破損や故障といった不具合が発生してから対処療法的に部分的に行う修繕のこと。

27.耐震診断

 既存建築物の地震に対する安全性の診断。

〔管理関係〕

28.マンション管理士

 専門的知識をもって、管理組合の運営、建物構造上の技術的問題等マンションの管理に関して、管理組合の管理者等又はマンションの区分所有者等の相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うことを業務とする資格。マンション管理士となるには国土交通大臣等の実施する試験に合格し、マンション管理士として登録することが必要。

29.管理会社

 管理組合から管理業務委託契約によって、委託を受けてマンションの管理を行う会社をいう。仕事は大きく分けて事務管理業務、管理員業務、清掃業務、設備管理業務の4つがある。

30.管理業務主任者

 管理の前提となる管理受託契約の重要事項の説明から、受託した管理業務の処理状況のチェック等及びその報告までマンション管理のマネジメント業務を行う資格。管理業務主任者となるには国土交通大臣等の実施する試験に合格し、登録、管理業務主任者証の交付を受けることが必要。

31.管理員業務

 マンションの受付、点検、立会、報告連絡などの業務がある。なお、勤務形態としては住み込み、通勤、巡回の3方式がある。

32.事務管理業務

 出納業務、会計業務、管理運営業務など。

33.基幹事務

 管理組合の会計収入、支出調停、及び出納、専有部分を除いたマンションの維持又は修繕に関する企画又は実施の調整のこと。

34.重要事項説明

 管理受託契約前に、マンションの区分所有者等及び管理者等に対して管理受託契約の内容及び履行に関する事項で重要事項について、説明会を開催し、管理業務主任者が説明しなければならない。

35.原則方式

 管理組合理事長名義の預金口座に各組合員の管理費等を直接収納する方式。

36.収納代行方式

 管理会社が管理組合からの委託により、区分所有者等から徴収した修繕積立金等の金銭を管理業者名義の預貯金に預け入れ、管理会社がその口座から金銭等を引き出すなどして管理事務を行う方法。なお、この方式による場合、管理会社が保証契約を締結している必要がある。

37.支払一任方式

 管理組合等が区分所有者等から徴収した修繕積立金等の金銭を管理組合等名義の預貯金口座に預け入れ、管理会社が管理組合から委託を受けて預貯金通帳と印鑑を保管し、その口座から払い出した金銭により管理事務を行う方法。

〔法律・規定関係〕

38.適正化推進法

 多数の区分所有者が居住するマンションにおける良好な居住環境の確保を目的とした法律。

正式名「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」

39.適正化指針

 適正化推進法によってマンションの管理の適正化を図るために国土交通大臣が定め、公表した指針。

40.建替え円滑化法

 今後の老朽化マンションの急増に対応して、区分所有者による良好な居住環境を備えたマンションへの建替えを円滑化し、民間が主体となった都市の再生を図るため、マンション建替組合の設立、権利変換手法による関係権利の円滑な移行等を目的とした法律。

正式名「マンションの建替えの円滑化等に関する法律」

41.区分所有法

 マンションの管理は区分所有者が共同して行うが、その際の区分所有者間の利害を調整し、円滑な共同生活の場を確保することを目的とした法律。

正式名「建物の区分所有等に関する法律」

42.標準管理規約

 管理規約を定める場合の標準モデルとして作成された「マンション標準管理規約」のこと。

「単棟型」「団地型」「複合用途型」の3種類がある。

43.標準委託契約書

 管理組合と管理会社の委託契約は、両者の合意により成立するが、契約の内容を適正なものとするため作成された標準モデル。

正式名「マンション標準管理委託契約書」

44.品確法

 10年間の瑕疵担責任、住宅性能表示制度、住宅紛争処理体制の整備の3つを中心に、住宅の品質を高めるためにつくられた法律。

正式名「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(平成12年4月1日より施行)」。

45.住生活基本法

 2006年6月に公布された、住生活基本計画その他の基本となる事項を定めることにより、住生活の安定の確保及び向上の促進に関する施策を総合的かつ計画的に推進を目的とした法律。

〔その他〕

46.瑕疵担保責任

 売買などの契約などにおいて、契約の目的物に隠れた欠陥があった場合、売り主などが負う担保責任。

47.先取特権

 優先的に、他の債権者より債務者の財産から弁済を受けることができる担保物件。

48.善管注意義務

 善良なる管理者の注意をもって委任事務を処理する義務を負い、違反した際は債務不履行の責任を負う。管理会社は委託契約に基づいて委託された業務を履行しなければならない。

49.特定承継人

 売買などにより権利義務を承継した者をいう。専有部分を買い受けた区分所有者など。特定承継人は管理費等の債権を引き継がなければならない。

50.包括承継人

 売買などにより権利義務の一切を承継する者のこと。例えば、相続人など。

51.アフターサービス

 売主(請負人)が営業政策上や消費者サービスの観点から行うもの。

52.原始管理規約

 新築マンションの販売当初の段階で販売者が用意した管理規約案をマンションの購入者全員に見せて承諾の署名捺印をもらう方法により成立した管理規約のこと。

53.団地

 一区画内に数棟の建物があり、その区画内の土地又は付属施設がそれらの建物の所有者の共有に属する場合をいう。(区分所有法より)

54.地震保険

 法律(「地震保険に関する法律」)に基づいて、政府と民間の損害保険会社が共同で運営している制度。

55.設計図書

 建物を建築するにあたり必要な図面や仕様書の総称。管理組合で保存する場合、永久保存することが望ましい。なお建築士事務所等に対して義務付けられている保存期間は5年間となっている。

56.マンションみらいネット

 国土交通省の補助事業で、マンション管理の状況をインターネットにて公開することによって、適正な管理運営を推進するシステム。